コミュニケ―ション

コーチングの理念

◼️コーチングで大切なことは「相手の中にある答えを大切にして、相手が自らの答えを見つけることを支援する」ことです。
そのためには、コーチングの3つの理念を理解する必要があります。

・人は無限の可能性を持っている
・相手が必要とする答えは、相手の中にあり、自ら答えを見つける力をもっている
・お互いに協働的なパートナー関係を築く

問題1.Aさん(85歳、女性)は、1人で暮らしており、高血圧症がある。物忘れがあり、要支援2の認定を受け、通所介護と訪問看護を利用している。Aさんの長女は他県に住んでいる。Aさんの健康状態を維持するために訪問看護師が行う支援で適切でないのはどれか。

  1. 服薬管理の支援を行う。
  2. 水分の摂取状況を把握する。
  3. 入浴は差支えないと助言する。
  4. 1人で買い物に行かないように助言する。
答え/解説

服薬管理の支援を行う。

[解説]
物忘れがあるという情報から、服薬管理の支援を行います。

水分の摂取状況を把握する。

[解説]
高血圧の増悪や心不全を予防するために、水分の摂取状況を把握しましょう。

入浴は差支えないと助言する。

[解説]
入浴を控えなければならない情報はありません。

1人で買い物に行かないように助言する。

[解説]
要支援2なので、1人で買い物に行くことはできます。ADLを制限してはなりません。

問題2.リハビリに無気力な利用者に対し、やる気を引き出す声掛けはどれか。

  1. 「リハビリをしないと寝たきりになりますよ。」
  2. 「もうこれで終わるんですか。もう少し頑張りましょう。」
  3. 「今日はここまでにしましょう。また次回も来てくださいね。」
  4. 「杖で歩けるようになったら、どこへ行きたいですか?」
答え/解説

「リハビリをしないと寝たきりになりますよ。」

[解説]
一時的にリハビリを行うが、やる気を引き出す声掛けではありません。

「もうこれで終わるんですか。もう少し頑張りましょう。」

[解説]
「ここまでよくがんばられましたね」とここまでの経過を承認されるとやる気が引き出されます。

「今日はここまでにしましょう。また次回も来てくださいね。」

[解説]
「お疲れ様でした。今日の調子はどうでしたか。」のようにまず利用者の思いや感想を傾聴すると信頼度が高まり、次回につながる声掛けになります。

「杖で歩けるようになったら、どこへ行きたいですか?」

[解説]
将来どんな状態を望んでいるかを利用者本人が描くことで、やる気を引き出すことができます。

問題3.後輩の相談話が要領を得ない、時間がとられ聞いていられないときの対応で、正しくないものはどれか。

  1. 話が途切れるまで話を聴く。
  2. 「よく頑張っているね。」とまず認める。
  3. 「いつもありがとう」とまず感謝の言葉を言う。
  4. まず連絡、報告、相談なのか話の趣旨を聴く。
答え/解説

話が途切れるまで話を聴く。

[解説]
だらだらと話を最後まで聴くことは、お互いに時間のロスです。

「よく頑張っているね。」とまず認める。

[解説]
話が長い人は、承認欲求が強い場合が多いためまず、感謝や労いの言葉かけをしましょう。

「いつもありがとう」とまず感謝の言葉を言う。

[解説]
話が長い人は、承認欲求が強い場合が多いです。まず、感謝や労いの言葉かけをしましょう。

まず連絡、報告、相談なのか話の趣旨を聴く。

[解説]
話が要領を得ない人には、連絡カードを活用し、連絡、報告、相談なのか話の趣旨を聞くと、スムーズになります。

問題4.次のうち肯定的な言葉はどれか。

  1. 「なぜできなかったの?」
  2. 「まだやってないの?」
  3. 「あなたにできることは、どんなことがある?」
  4. 「やる気があるの?」
答え/解説

「なぜできなかったの?」

[解説]
「これからは、どうしたらできると思う?」「なにがあったの?」と言い換えると肯定的になります。

「まだやってないの?」

[解説]
「できない理由はどんなこと?」と言い換えると肯定的になります。

「あなたにできることは、どんなことがある?」

[解説]
相手の可能性を信じている問いかけになっています。

「やる気があるの?」

[解説]
「何か気になっていることがあるの?」やる気にならない原因を質問してみましょう。

問題5.アンガーマネジメント(怒りの感情のコントロール)について、間違っているものはどれか。

  1. 怒りは、身近な人には強く出る傾向がある。
  2. 怒りの感情がない人はいない。
  3. 怒りは第1次感情と言われている。
  4. 怒りの感情は無くすことはできない。
答え/解説

怒りは、身近な人には強く出る傾向がある。

[解説]
怒りは自分にとって身近だと感じる人に対して強く出る傾向にあります。自分との関係性が薄い相手に対しては、怒りは余り強く出しません。

怒りの感情がない人はいない。

[解説]
怒りは人間が元々持っている感情なので、怒りの感情が無い人はいません。

怒りは第1次感情と言われている。

[解説]
怒りは第2感情です。第1次感情は、怒る前に私達が感じる感情で、一般的に言うネガティブな感情のことをいいます。例えば、辛い、苦しい、不安、悲しい等です。

怒りの感情は無くすことはできない。

[解説]
怒りは人間にとっての防衛感情です。無くすことは出来ません。

チームビルディング

介護の場面でのチーム
◼️チームビルディングとは、仲間が思いを一つにして、一つのゴールに向かって進んでいく組織作りのことをいいます。
◼️介護の場面では、それぞれの職域の中で情報共有し、それぞれの働きを有効活用してこそチームケアであり、
利用者さんのゴールに近づけることができます。

◼️チームケアを有効に発揮するために重要なことは、お互いの職域の専門性を尊重し、認め合う姿勢を持つことです。
◼️立ち位置が違えば見方が変わって当然なことを理解しましょう。それぞれが事実を持ち寄り、問題を多面的にとらえ、事実を探り利用者さんの問題を解決していくことで、個人の能力だけでなく、チーム力も向上していくのです。

問題1.知識が豊富な新人に対しての対応で、正しいのはどれか。

  1. 頼れる新人であるため、仕事をすべて任せる。
  2. 新人の弱みを見つけ、とことん指導する。
  3. 自分の強み・弱み、新人の強み・弱みをオープンにし、お互いの弱いところをサポートする。
  4. 優秀な先輩に指導をお願いする。
答え/解説

頼れる新人であるため、仕事をすべて任せる。

[解説]
知識が豊富な新人でも分からないことはあるので、理解できていないところを明確にして仕事を任せましょう。

新人の弱みを見つけ、とことん指導する。

[解説]
強く指導することは、自尊心を傷つける恐れがあります。

自分の強み・弱み、新人の強み・弱みをオープンにし、お互いの弱いところをサポートする。

[解説]
優秀な新人でも弱みはあり、経験のある指導者なら弱みをサポートできる強みがあるはずです。

優秀な先輩に指導をお願いする。

[解説]
逃げることは、信頼関係を構築できません。できることを見つけ指導しましょう。

問題2.チームアプローチ、多職種連携について最も適切なものはどれか。

  1. 利用者に問題が起きた際、専門職員1人でじっくり時間をかけ、解決することが大切である。
  2. 支援計画は、介護者中心の共通の目標を持つことが大切である。
  3. 利用者への統合的支援を可能にするためには、多職種連携でチームアプローチを行い、チームメンバーの信頼関係を築き、互いに支え合い、育て合うことが大切である。
  4. カンファレンスの意見交換の際、他の専門職が自身の価値観と違うため、意見を聞かず自らの専門性、価値観を貫いた意見を押し通すべきである。
答え/解説

利用者に問題が起きた際、専門職員1人でじっくり時間をかけ、解決することが大切である。

[解説]
問題を一人で抱え込むことで、タイムリーに対応することが出来ず、解決を遅らせたり状況を悪化させたりする恐れがあります。そのため、多職種連携で解決していくことが望ましいと言えます。

支援計画は、介護者中心の共通の目標を持つことが大切である。

[解説]
チームアプローチは、利用者へ適切な支援を行うためにあります。そのため、利用者中心の目標を持つことが大切です。

利用者への統合的支援を可能にするためには、多職種連携でチームアプローチを行い、チームメンバーの信頼関係を築き、互いに支え合い、育て合うことが大切である。

[解説]
互いの専門性を理解し、尊重し合うことで信頼関係が築かれ、多様な視点、情報、知識をもとに利用者への統合的支援が可能になり、チーム力の向上にも繋がります。

カンファレンスの意見交換の際、他の専門職が自身の価値観と違うため、意見を聞かず自らの専門性、価値観を貫いた意見を押し通すべきである。

[解説]
価値観や、考え方の意見の相違から他職種を認めないことは、チームアプローチの機能を妨げる要因となり、利用者へ適切なケアが難しくなります。

問題3.チームビルディングに必要な人材育成について、最も適切なものはどれか。

  1. 法人、事業所等の基本理念やサービス目標を前提にしながら、人材育成の理念や方針を策定していく必要がある。
  2. 初任者に対する指導には、コーチング技法が適切である。
  3. スーパービジョンの3つの機能は教育的、管理的、支配的機能である。
  4. 職場研修において、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)は一定期間、日常の職務を離れて行う研修である。
答え/解説

法人、事業所等の基本理念やサービス目標を前提にしながら、人材育成の理念や方針を策定していく必要がある。

[解説]
法人や事業所等の基本理念や方針を目標として、研修などの人材育成を系統的、継続的に実施し利用者サービスへ還元していくことが大切です。

初任者に対する指導には、コーチング技法が適切である。

[解説]
経験が浅い初任者に対する指導は、基本的に「教える」ティーチング技法が適切です。コーチング技法は、経験を積み、一定の成熟レベルに達した中堅職員に対して、内発的、自発的な気づきや意欲を引き出し、メンバーの成長を支援を促すには効果的な技法です。

スーパービジョンの3つの機能は教育的、管理的、支配的機能である。

[解説]
支配的機能ではなく支持的機能です。チームメンバーが業務上で出来ていることを認めると同時に、出来ていないことにも気づき、取り組もうとしている意思や行動を支持し、サポートを行っていくことが大切です。

職場研修において、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)は一定期間、日常の職務を離れて行う研修である。

[解説]
OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)とは主に日常業務を通して行われる最も普遍的な研修方法です。一定期間、日常の職務を離れて行う研修をoff-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)と言います。

問題4.チームビルディングの内容として間違っているものはどれか。

  1.  チームビルディングには、メンバー同士の繋がりが必須である。
  2. チームビルディングに必要なことは、リーダーがどんなチームを作りたいかというビジョンを明確にすることである。
  3. チームビルディングに必要なことは、メンバー全員がどんなチームを作りたいかというビジョンを共有していることである。
  4.  チームとは、メンバー個々の目的を達成するために集まった集団のことをいう。
答え/解説

 チームビルディングには、メンバー同士の繋がりが必須である。

[解説]
チームビルディングとは、同じ目標に向かって、チームメンバー全員が一丸となり、効果的な組織づくりを目指すことであるため、メンバー同士の繋がりは必要です。

チームビルディングに必要なことは、リーダーがどんなチームを作りたいかというビジョンを明確にすることである。

[解説]
チームのまとめ役であるリーダーが、目指す組織のビジョンを明らかにしていなければ、メンバーはどこを目指して進めばいいかわからなくなります。

チームビルディングに必要なことは、メンバー全員がどんなチームを作りたいかというビジョンを共有していることである。

[解説]
目的をいち早く達成するためには、メンバー全員が、目指す組織のビジョンを共有し、同じ方向を向き、進むことが大切です。

 チームとは、メンバー個々の目的を達成するために集まった集団のことをいう。

[解説]
チームとは、メンバーとリーダーが合意した共通の目的を達成するために集まり、密接に協働する集団の事を言います。