働く人々が健康な毎日を送れるように。「会社の保健室」のような存在に。

地元の秋田県に居を構える藤原かよこさんは約15年間医療機関で看護師として働き、現在は企業の看護師・産業カウンセラーとして「働く人の健康づくり」を支援しています。

人間の心や身体の成長に興味があり、「趣味をしながら仕事している感覚です」とにこやかに話す藤原さんに、仕事内容や今の仕事・働き方との出会いについてお話を聞きました。

働く人の健康づくりをサポート

ーー普段どのようなお仕事をされていますか?

今、私は3種類の仕事をしています。会社の保健室の先生のような仕事、自分が事業主として、働く人が安全・安心に健康で働けるようなサポートをする仕事と、ヤングケアラーのSNS相談窓口の対応です。

先のふたつの仕事内容は、健康診断の結果をチェックして受診を勧めたり、体調やメンタル的な相談に乗ったり、医療機関につないだりということが主な業務ですね。

ーー藤原さんは「働く人の健康づくり」を支援していると事前に伺ったのですが、「働く人の健康づくり」について詳しく教えてくださいますか?

働く人の健康は、労働安全衛生法という法律で決まっています。働く人が仕事で健康を害さないようにする法律です。年に1度の健康診断の結果から、病気になりそうな人に受診を勧めたり、産業医というお医者さんとの面談をセッティングしたりします。そういったことを通して、仕事に最大限のパフォーマンスを発揮できるように働く人の健康づくりをサポートする仕事です。

自分に適した職との出会い

ーー「働く人の健康づくり」をするに至ったのは、どのような経緯があったのでしょうか?

子どもが小学校に入る時に、土日や夜勤のある仕事を続けるのはちょっと難しいなぁと感じて、土日は休める仕事を探しました。その時、健康指導をしたり、病気の予防をしたりする企業内看護師という仕事に出会いました。

後輩の指導や健康指導が上手だと褒められたことがあって、自分自身も相手の考えを察して、どうしたらうまく健康管理できるかを一緒に考えるのがすごく好きだったんです。この仕事なら自分にもできるかなと思って選びました。

(研修の様子)

自分のやりたいこと、進みたい道に進む

ーー遠距離介護支援協会に入ってよかったこと、印象に残っていることなど教えて下さい。

まずは、保険外サービスを広めていこうというところに惹かれたんです。自分で事業を起こしたものが保険外サービスでして、医療とは違うんですけど、働いてる人の健康管理も医療保険と関連があります。

あとは、私がまた医療に携わるとしたら訪問看護がいいなと思っています。訪問看護の勉強をしている途中で医療から離れたのと、日頃から介護の相談を受けることが多く、遠距離介護にすごく興味がありました。私は秋田県に住んでいるのですが、高齢化が進んでいて、これからは遠距離介護をする人が多くなると思います。そういう点からも興味がありましたね。

ーー活動で良かったことがあった反面、大変だったけれど乗り越えられた経験などはありますか?

なかなか自分の保険外サービス事業をどういったふうに作っていくのか、ずっと迷って答えが見つからないでいました。たくさん支援していただいて今までにない知恵を貸していただいたりしたんですけど、あれもやりたい、これもやりたいと思うと自分の中で軸がぶれちゃって大変でしたね(笑)

ーーそれを乗り越えて今に至るのですね。素敵です。

全ての働く人に平等な機会を

ーーこれからやってみたいこと・関心のあることを教えて下さい。

私は全ての働く人に、健康を管理する仕組みが出来ればいいなと思っています。今は会社の規模に合わせた管理の仕組みになっているので、働く人1人に対して何時間とか、年に何回という仕組みが出来ればいいと思います。

社員の人数が少ない会社こそ、健康をサポートしないと働く人が病気になったら働き手がいなくなってしまいますよね。健康は誰にとってもかけがえのないものなので、これからいろんなケースを積み重ねて働く全ての人に健康管理のサポートが行き渡る仕組みを作りたいと思っています。

(自身の原体験をもとに、個人事業「ライフデザインハニカム」としての活動をスタート)

ーーご自身の経験上、これからの社会で働き続けるためにこれがあったらもっと生きやすい、こんな環境を作ったらいいのに、というものはありますか?

メンタルヘルス対策の制度に「ストレスチェック」があるのをご存じですか?このアンケートでは仕事がつらいと感じる原因が分かるんですよ。個人、職場単位でも分かりますし、それが周囲のサポートがないからなのか、プライベートなのか、仕事の量が多いのか、プライベートの問題か、仕事の向き不向きの問題かが分かります。

ストレスチェックの結果から会社の同僚のサポートが少なく感じているのであればコミュニケーションを多くとったり、自分の技術的な問題であればスキルをつけたり、キャリアを考え直すとか。そういう身近にあるものを使って、職場や個人の環境を変えたら、働きやすくなるんじゃないかなと思います。自分が悩んでいるところが見えてくるので、じゃあそこを何とかしようという一歩目が出てきますよね。精神的・内面的なものなど、見えないものは対処できないですからね。

ーー見える化して行動を起こすことが大切なのですね、ありがとうございました。

働く人の身体面、精神面からサポートする藤原さんの熱い姿勢を感じることができました。自分では「大丈夫だ」と思い込んでいても、体や心のどこかは助けを求めているかもしれません。働く人に優しく寄り添う藤原さんのサポートや願いがこの先の明るい将来に繋がると思います。