【レポート】専門家だって、親の介護は難しい!無理をしない親の介護を考える

2022年3月21日、オンラインセミナー『専門家だって、親の介護は難しい!無理をしない親の介護を考える』が開催されました。

ゲストは、山口大学経済学部教授・鍋山 祥子さん、介護・育児をサポートする「わたしの看護師さん」、そして遠距離介護支援協会の代表を務めるかんべ たかこです。二人は介護の専門家であり、実際に親の遠距離介護を実践中です。

「介護の専門家でも自分の親の介護は上手にできない」

看護師である神戸さんは、20代の頃にも親戚の介護を経験。「女性だから、家族だから…」と罪悪感を抱く介護に陥りました。今は、自分を犠牲にしない介護を実践したいと言います。

「介護問題に地域全体が向き合う必要がある 」と神戸さん。「介護を理由に夢をあきらめさせない世の中を作りたい」、「心身的経済的に自立できる若者を増やしたい」と保険外介護サービスにも力を入れています。

鍋山さんは遠距離介護を専門に研究を続けてきました。実際に親の介護が始まると、介護保険サービスの受け入れ拒否、介護保険では賄いきれない心のつながりなどの親のニーズに直面。「ケアする方もケアをされる方も犠牲にならないケアのあり方」を探ってきましたが、セオリー通りに行かないと話します。

つながりを断たない介護をマネージメント

介護保険制度は万能ではなく、子どもに介護されることを期待している親の欲求を満たすことができないことも。鍋山さんは「自分だけでなく、周りの人たちやサービスを活用しながら、長く良い親子関係を保ち続けるのが一番のポイント」と話します。

大事なのは、自分なりの介護の仕方・親に合わせたサービスの組み立て方を考えることや、一人で抱え込まずに周りの専門家に相談すること。

まず介護保険を理解し、使いこなすことが重要です。それにプラスして親に何が必要なのかを見極め、それを誰ができるのかを考えてマネージメントします。きょうだい、親戚、地域の方、保険外サービスなど、それぞれができることを持ち寄ることが大切です。

ひとりでかかえこまないで

神戸さんからは「一人で抱え込まないように、夢を諦めないように」、鍋山さんからは「正解はないけれど、介護がうまくいくかもしれないという方向性を見つけていきたい」とメッセージが。

語り合いを通して、神戸さん・鍋山さん・視聴者のみなさんとのつながりを感じることのできるイベントでした。