遠距離介護・看護師の「未來」の介護現場とはーー?

2022年2月8日、「遠距離介護・介護師の「未来」の介護現場とは」と題して、遠距離介護と保険外サービスについてのトークセッションが開催されました。この記事では、当日紹介された遠距離介護師の現場の声や未来の介護現場について振り返っていきます。

遠距離介護を支える、未来型“保険外介護サービス”とは?

まずはじめに2014年から介護保険外サービス「わたしの看護婦さん」をスタートした、遠距離介護支援協会代表の神戸から、保険外サービスの現在地と未来について紹介いたしました。

神戸:「未来型保険外介護サービス」では、介護のストレスフリーと介護離職を徹底的に減らすことを目指しています。

介護を担っていた子ども世代の都会への流出や、出生数の減少により、高齢者を支える家族がいなくなっている現代。家族形態の変化とともに、「介護は家族がやるべきもの」というこれまでの常識は、子ども世代のニーズには当てはまらなくなっています。また、ヘルパーさんなどの介護保険サービスは、行政から要介護や要支援の判定が出なければ利用できず、判定が出たとしても保険内では対応できないケースが多いのが現状です。 

そこで、保険適用外の介護をアウトソーシングできる、未来型“保険外介護サービス”を始めました。例えば、保険適用外の高齢者の病院受診の付き添いでは、ビデオ通話でご家族と医師をつなげ、オンラインで報告書を提出。遠方のお子さんも、オンラインで安心して家族を見守ることができるんです。

遠距離介護で実現できた、本当に目指したい看護とは?

続いては、大阪・長崎で活躍する現役看護師の3名に加わっていただき、「どうして保険外サービスに関わろうと思ったのか」「遠距離介護で実現できたこと」について伺いました。

<トークセッション参加者>
●本田看護師(長崎)…十分なキャリアを背景、患者が安心できる介護保険外サービスや訪問看護を行う。
●木下看護師(大阪)…「患者さんの生活を知ってからこそ、より良い医療や看護が提供できる」と総合病院を飛び出し、在宅看護をスタートした。
●竹下看護師(大阪)…母子が安心して暮らせるような地域を作りたいと活動。保険外サービスにも参画中。

なぜ保険外の訪問サービスに関わろうと思ったの?
ーー保険外の訪問サービスに関ったきっかけは?

竹下:保険内の訪問看護では1時間の制約がありました。患者さんのためにもっとできることがあるはず、という気持ちがきっかけです。

木下:看取り看護の場合でも、保険内では患者さんの傍に一晩中いられません。患者さんに寄り添って、生きるサポートがしたいと思ったからです。

本田:私は、障害のある方でも安心して旅行を楽しめるよう、観光地の長崎で保険外サービスを始めました。

今までの職場と訪問するサービスと比較して、楽しい点は?
ーー今までの職場で訪問するサービスと比較して、楽しい点はありますか?

木下:保険内では問いかけまでしかできなかったのが、「元気になったら何がしたい?」という問いの回答に対して、一緒に行動して患者さんの希望を叶えてあげられることですね。例えば、「春になったら喫茶店へ行って美味しいケーキが食べたい」と答えた患者さんに対して、「私が一緒に行きます!」と患者さんを一番よく知っている自分が、自信を持って言えること。

竹下:患者さんと子どもみたいに深く関われ本当に身近になれるのも、保険外サービスの良いところです。夜になると寂しい思いをしてしまう患者さんにも、夜中寄り添うことができる。私の存在に安心して寝てくださった時や、訪問先の患者さんに「あなたと一緒に食べるいちごだから美味しいのよ」と言ってもらえた時がすごく嬉しかったですね。

本田:私は、娘さんが心配されるくらいとても気難しい患者さんが、1年近く経って訪問サービスで指名をいただくほど信頼を寄せてくれたことです。短歌がお好きな方で、そのお話をしてもらえるように会話を繋いでいくことで、すごく信頼を持っていただいたんです。今では、娘さんを介して自宅の観葉植物の様子を私に報告して下さるくらい。保険内では出来ない気遣いが出来たり、家族の一員として信頼関係を築いていけるのも、保険外サービスならではなのかな、と思います。

遠距離介護・看護師の未来に思うこと、自分の未来
ーー遠距離介護・看護師の未来や自分の中で今後取り組みたい・実現したいことはありますか? 

木下:医療行為あっての看護師ですが、自分の目と手や言葉掛けでも患者さんをサポートできる、という看護師の醍醐味をもっと分かってもらえたらと思っています。きっと、看護の幅も広がり楽しくなるはずです。

竹下:私の中では、いずれ子ども向けのサポートを立ち上げたいと思っています。高齢者の生きがいにもなるような、高齢者と子どもがふれ合える、憩いの場を作っていきたいと考えています。

本田:介護保険を受けたくない団塊世代向けにも支援が出来ればと思っています。まずは一人の人間として寄り添い、危険な場面などでは看護師として関わっていく形で、これからもサポートしていきたいです。

参加者の感想

ライブ配信を聴講していただいた方々からは、次のような感想が挙がりました。

参加者:点ではなく線、面で関われるのが保険外サービスの良いところですね!大変勉強になりました!ありがとうございました!

参加者:ありがとうございました。いずれ保険外サービスができればと思っております。実際のお話をお聞きできてよかったです。また、普段の様子などお話きけると嬉しいです。

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高齢のご家族を支える現役世代を助け、患者さんにもまるで家族の一員として寄り添うことができる「保険外介護サービス」。現場の看護師さん達も、保険内ではできなかった親身なサポートが可能になるため、より自分ごととして患者さんと向き合っていました。今後もますます需要が高まるであろう「保険外介護サービス」。介護負担を一人で抱え込まず、二人三脚で家族を支えていく人が増えるよう、遠距離介護支援協会では活動を続けてまいります。

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